☆決戦、第3新上尾市
第5の使徒の放った加粒子砲の直撃を受け、死線を彷徨(さまよ)う塚ピ。
一方、攻守共にほぼ完璧と云える能力を有する第5の使徒に対し、葛城マサ子は日本全国の電力を総動員し、
極大エネルギーの陽電子砲によって、射程外からの超長距離射撃で撃滅する計画――「アゲオ作戦」を立案、実行に移す。勝利確率8.7%の戦いが、今、始まる。
第六話:決戦、第3新東京市
ヨッシー:目標内部に、高エネルギー反応!
マサ子:なんですって!?
ヨッシー:円周部を加速!収束していきます!
S根:まさか!
BGM:1-3
マサ子:だめ!よけて!
塚ピ:え!?
塚ピ:うわああああ!
マサ子:戻して!早く!
ヨッシー:目標、完黙!
マサ子:塚ピ君は?
おたぬ:生きています!
茶無:初号機回収、第7ケイジへ!
マサ子:ケイジへ行くわ。後よろしく!
茶無:初号機、固定完了!
おたぬ:パイロット、脳波乱れています、心音微弱!
S根:生命維持システム最大、心臓マッサージを!
おたぬ:はい!
おたぬ:パルス確認!
S根:プラグの強制排除、急いで!
S根:L.C.L.緊急排水!
茶無:はい!
マサ子:いいから、ハッチを開けて!早く!
マサ子:塚ピ君…!
BGM停止
マサ子:…
ヨッシー:敵、荷粒子砲命中、ダミー蒸発!
マサ子:次!
ヨッシー:12式自走臼砲消滅!
マサ子:…なるほどね。
BGM:2-12
職員:これまで採取したデータによりますと、目標は一定距離内の外敵を自動排除するもの、と推測されます。
おたぬ:エリア侵入と同時に荷粒子砲で100%狙い撃ち、エヴァによる近接戦闘は、危険過ぎますね。
マサ子:A.T.フィールドはどう?
職員:健在です。相転移空間を肉眼で確認できるほど、強力なものが展開されています。
おたぬ:誘導火砲、爆撃などの生半可な攻撃では、泣きを見るだけですね、こりゃあ。
マサ子:攻守ともにほぼパーペキ…まさに空中要塞ね。で、問題のシールドは?
職員:現在目標はわれわれの直上、第3新東京市ゼロエリアに侵攻、直径17.5mの巨大シールドがジオフロント内、ネルフ本部に向かい穿孔中です。
おたぬ:敵はここ、ネルフ本部へ直接、攻撃を仕掛けるつもりですね。
マサ子:しゃらくさい!で、到達予想時刻は?
職員:あ、明朝午前0時06分54秒、その時刻には22層全ての装甲防御を貫通して、ネルフ本部へ到達するもの、と思われます。
マサ子:(後10時間足らずか…)
ヨッシー:敵シールド、第一装甲版に接触!
マサ子:で、こちらの初号機の状況は?
S根:胸部第3装甲板まで見事に融解。機能中枢をやられなかったのは、不幸中の幸いだわ。
茶無:後3秒照射されていたら、アウトでしたけど…
ケイジ作業員:3時間後には換装作業、終了予定です。
マサ子:了解。零号機は?
茶無:再起動自体に問題はありませんが、フィードバックにまだ誤差が残っています。
S根:実戦は…
マサ子:まだ無理か…
マサ子:初号機専属パイロットの容体は?
おたぬ:身体に異常はありません。神経パルスが0.8上昇していますが、許容範囲内です。
ヨッシー:敵シールド到達まで、後9時間55分!
マサ子:状況は芳しくないわね。
おたぬ:白旗でも揚げますか?
マサ子:その前に、ちょっち、やってみたいことがあるの。
BGM停止
冬月:目標のレンジ外、超長距離からの直接射撃かね?
マサ子:そうです。目標のA.T.フィールドを中和せず、高エネルギー収束帯による一点突破しか方法はありません。
冬月:MAGIはどう言ってる?
マサ子:スーパーコンピューターMAGIによる回答は、賛成2、条件付き賛成が1でした。
冬月:勝算は8.7%か。
マサ子:最も高い数値です。
ゲンドウ:反対する理由は無い。やりたまえ、葛城一尉
マサ子:はい。
S根:しかし、また無茶な作戦を立てたものね、葛城作戦部長さん?
マサ子:無茶とはまた失礼ね。残り9時間以内で実現可能、おまけにもっとも確実なものよ。
S根:これがねぇ…
S根:うちのポジトロンライフルじゃ、そんな大出力に耐えられないわよ。どうすんの?
マサ子:決まってるでしょ、借りるのよ。
S根:借りるって、まさか…
マサ子:そ。戦自研のプロトタイプ。
マサ子:以上の理由により、この自走陽電子砲は、本日15時より、特務機関ネルフが徴発いたします。
戦自の人:かと言って、しかし、そんな無茶な…
マサ子:可能な限り、原形をとどめて返却するよう、努めますので。では、ご協力、感謝いたします。
マサ子:いーわよ、アーリー!持ってってー!精密機械だから、そーっとねー!
おたぬ:しかし、A.T.フィールドをも貫くエネルギー算出量は、最低1億8千万キロワット、それだけの大電力を、どこから集めてくるんですか?
マサ子:決まってるじゃない、日本中よ。
TV(鈴原邸内):番組の途中ですが、ここで臨時ニュースをお伝えいたします。
TV(洞木邸内):本日、午後11時30分より
TV(街頭):明日未明にかけて、全国で大規模な
ヘリコプター:停電があります。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
放送:繰り返しお伝えいたします。本日午後11時30分より、
宣伝カー:明日未明にかけて、全国で大規模な
放送:停電があります。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
BGM:2-12
オペレータ:敵シールド、第7装甲版を突破。
マサ子:エネルギーシステムの見通しは?
オペレータ:現在予定より3.2%遅れていますが、本日23時10分には、何とかできます。
マサ子:ポジトロンライフルはどう?
作業員:技術開発部第三課の意地にかけても、後3時間で形にして見せますよ!
マサ子:防御手段は?
S根:それはもう、盾で防ぐしかないわね。
茶無:これが…盾ですか?
S根:そう、SSTOのお下がり。見た目はひどくとも、もともと底部は超電磁コーティングされている機種だし、あの砲撃にも17秒はもつわ。二課の保証書付きよ。
マサ子:結構。狙撃地点は?
おたぬ:目標との距離、地形、手頃な変電設備も考えると、やはりここです。
マサ子:フーン、確かにいけるわね…
マサ子:狙撃地点は二子山山頂。作戦開始時刻は明朝0時、以後、本作戦を、アゲオ作戦と呼称します!
おたぬ:了解!
BGM停止
マサ子:(後は、パイロットの問題ね…)
職員:初号機パイロットの意識が戻ったそうです。検査数値に問題なし。
マサ子:そう。では作戦は予定どおりに。
職員:了解。
S根:でも、彼、もう一度乗るかしら?
マサ子:二子山決戦、急いで!
塚ピ:ん?あぁ…?有波…?
アーリー:明日、午前0時より発動される、アゲオ作戦のスケジュールを伝えます。
アーリー:碇・有波の両パイロットは、本日17:30(イチナナサンマル)、ケイジに集合。
アーリー:18:00(イチハチマルマル)、初号機および零号機起動。
アーリー:18:05(イチハチマルゴー)、発進。
アーリー:同30(サンマル)、二子山仮設基地到着。
アーリー:以降は別命あるまで待機。
アーリー:明朝日付変更と同時に作戦行動開始。
アーリー:これ、新しいの。
アーリー:寝ぼけて、その格好で来ないでね。
塚ピ:ん?…わっ!…ごめん…
BGM:1-5
塚ピ:…昨日から、謝ってばかりいる…
アーリー:食事。
塚ピ:何も、食べたくない。
アーリー:60分後に、出発よ。
塚ピ:また、あれに乗らなきゃならないのかな…?
アーリー:ええ、そうよ。
塚ピ:僕は…嫌だ。有波はまだあれに乗って、恐い目にあったことが無いからそんなことが言えるんだ!もうあんな思い、したくない…
アーリー:じゃ、寝てたら?
塚ピ:寝てたらって…?
アーリー:初号機には私が乗る。赤城博士が初号機のパーソナルデータの書き換えの用意しているわ。
塚ピ:S根さんが?
アーリー:じゃ、葛城一尉と赤城博士がケイジで待っているから。
アーリー:さよなら。
BGM停止
塚ピ:…
Bパート
ダーマス:えらい遅いなぁ~。もう避難せなあかん時間やで。
イリフ:パパのデータをちょろまかして見たんだ。この時間に間違いないよ。
ダーマス:せやけど、出てけえへんなぁ。
イリフ:ん?
男子生徒:おおっ?
ダーマス:山が、動きよる!
イリフ:エヴァンゲリオンだ!
男子生徒:おおっ!
男子生徒:すっげーっ!
男子生徒:頑張れよー!
男子生徒:頼んだぞー!
男子生徒:頑張れー!
男子生徒:エヴァンゲリオ~ン!
男子生徒:おおーい!
男子生徒:気張っていけよー!
男子生徒:頑張れー!
男子生徒:頼むでー!
BGM:2-12
ヨッシー:敵シールド、第17装甲板を突破!本部到達まで、後3時間55分!
おたぬ:四国および九州エリアの通電完了。
オペレータ:各冷却システムは試運転に入ってください。
S根:精密機械だから、慎重にね。
塚ピ:でも、こんな野戦向きじゃない兵器、役に立つんですか?
S根:仕方ないわよ、間に合わせなんだから。
塚ピ:大丈夫ですよね。
S根:理論上はね。でも、銃身や加速器がもつかどうかは、撃ってみないと分からないわ。こんな大出力で試射したこと、一度も無いから。
マサ子:本作戦における、各担当を伝達します。
マサ子:塚ピ君。
塚ピ:はい。
マサ子:初号機で砲手を担当。
塚ピ:はい。
マサ子:アーリーは零号機で防御を担当して。
アーリー:はい。
S根:これは、塚ピ君と初号機の方が、シンクロ率が高いからよ。今回はより精度の高いオペレーションが必要なの。
S根:陽電子は地球の自転、磁場、重力の影響を受け、直進しません。その誤差を修正するのを、忘れないでね。
S根:正確に、コア一点のみを貫くのよ。
塚ピ:そんなこと、まだ練習してないですよ。
S根:大丈夫、あなたはテキストどおりにやって、最後に真ん中のマークがそろったらスイッチを押せばいいの。後は機械がやってくれるわ。
S根:それと、一度発射すると、冷却や再充填、ヒューズの交換などで、次に撃てるまで時間がかかるから。
塚ピ:じゃあ、もし外れて敵が撃ち返してきたら…?
S根:今は余計なことを考えないで。一撃で撃破することだけを考えなさい。
塚ピ:(大ピンチ、って事か…)
アーリー:私は…私は初号機を護ればいいのね。
S根:そうよ。
アーリー:分かりました。
マサ子:時間よ。2人とも着替えて。
塚ピ・アーリー:はい。
BGM停止
塚ピ:これで死ぬかもしれないね…
アーリー:どうしてそういうことを言うの?
アーリー:あなたは死なないわ。
アーリー:私が守るもの。
BGM:2-4
注)日本中の電気が消えていく。
BGM停止
塚ピ:有波はなぜこれに乗るの?
アーリー:…絆だから。
塚ピ:絆?
アーリー:そう、絆。
塚ピ:父さんとの?
アーリー:みんなとの。
塚ピ:強いんだな、有波は。
アーリー:私にはほかに何も無いもの。
塚ピ:ほかに何も無いって…
アーリー:時間よ。行きましょ。
アーリー:じゃ、さようなら。
時報:ただいまより、0時0分0秒をお知らせします。
おたぬ:作戦、スタートです!
BGM:1-16
マサ子:塚ピ君、日本中のエネルギー、あなたに預けるわ。
マサ子:頑張ってね!
塚ピ:はいっ!
マサ子:第一次、接続開始!
おたぬ:第一から、第803(ハチマルサン)管区まで、送電開始!
オペレータ:電圧上昇中、加圧域へ!
おたぬ:全冷却システム、出力最大へ!
オペレータ:温度安定、問題なし!
オペレータ:陽電子流入、順調なり。
マサ子:第二次、接続!
オペレータ:全加速器、運転開始!
茶無:強制収束器、作動!
オペレータ:全電力、二子山増設変電所へ!第三次接続、問題なし!
マサ子:最終安全装置、解除!
おたぬ:撃鉄起こせ!
オペレータ:地球自転、および、重力の誤差修正、プラス0.0009。電圧、発射点まで、後0.2。
おたぬ:第七次最終接続、全エネルギー、ポジトロンライフルへ!
おたぬ:8、7、6、5、
茶無:目標に高エネルギー反応!
おたぬ:4、
S根:何ですって!
おたぬ:3、2、1!
マサ子:発射!
BGM停止
塚ピ:ぐぅううううッ!
S根:きゃあっ!
マサ子:ミスった!
BGM:1-19後半
ヨッシー:敵シールド、ジオフロントへ侵入!
マサ子:第二射、急いで!
おたぬ:ヒューズ交換!再充填開始!
オペレータ:銃身、冷却開始。
茶無:目標に再び高エネルギー反応!
マサ子:まずい!
塚ピ:うゎ!
マサ子:塚ピ君!
塚ピ:有波!
S根:盾がもたない!
マサ子:まだなの!?
おたぬ:後10秒!
塚ピ:早く…
塚ピ:早く!
マサ子:いよっしゃあ!
BGM停止
塚ピ:有波ッ!
塚ピ:うぅ……ぐぅぅぅ…うぅぅぅぅ…
塚ピ:有波!大丈夫か!有波!
BGM:1-20
塚ピ:自分には…自分にはほかに何も無いなんて、そんなこと言うなよ…
塚ピ:別れ際にさよならなんて、悲しいこと言うなよ…
アーリー:何泣いてるの?ごめんなさい、こういう時、どんな顔をすればいいのか分からないの…
塚ピ:笑えばいいと思うよ…